腎機能障害と貧血、Mタンパクを認め骨髄検査を施行。骨髄に形態異常のある形質細胞を認めた。
CD38-SSCで展開した図で、CD38の発現が高い部分(CD38high)にゲートがかけられています。CD38high領域には14.2%の細胞を認めます。
ゲート内では、cyκ : cyλ = 1.1 : 83.5と著明な偏りがあります。CD38high領域にクローナリティを持つ細胞を認め、多発性骨髄腫と考えられます。
ちなみに「cyκ」は細胞質内κ(cytoplasmic κ)の略です。骨髄腫では基本的には細胞表面に免疫グロブリンを発現していないため、細胞質内のκ/λ比を見てクローナリティを判断します。
本例ではCD19は陰性、CD56は陽性です。正常な形質細胞はCD19陽性、CD56陰性ですが、多くの多発性骨髄腫はCD19が陰性となります。骨髄腫ではCD56が陽性となることも多いです。
骨髄の鏡検像や免疫電気泳動などの結果からIgG-λ typeの多発性骨髄腫と診断しました。
フローサイトメトリーの所見
CD38high領域にCD19-CD56+cyλ+の細胞を認め多発性骨髄腫と考える。