汎血球減少、末梢血への異常細胞出現とLDH上昇を認め骨髄検査を施行。
通常のリンパ球よりCD45発現が低い領域gate(1)に39.7%の細胞を認めます。κ/λを見ると、やや発現が弱いですがほとんどの細胞がκ陽性で、クローナルな細胞集団と考えられます。これらの細胞はCD5, CD19, CD20, CD25も陽性、あるいは弱陽性です。CD45の発現はやや弱いですが、成熟B細胞に似た表面抗原です。
以上のことより、CD5陽性のB細胞性リンパ腫と考えます。
CD5陽性のB細胞性リンパ腫としてはCLL、マントル細胞リンパ腫、CD5陽性のDLBCLなどが鑑別に挙がります。フローサイトメトリーの所見から言えるのはここまでだと思います。あとはFISHや病理の所見を待ちましょう。
リンパ球領域(gate2)には14.7%の細胞が存在します。
T細胞 50.6+34.2 = 84.8% (CD4 38.6+9.3 = 47.9%、CD8 34.2%)、B細胞 2.6%、NK細胞 93.8+1.6-84.8 = 10.6%。この領域には明らかな異常細胞は指摘できません。
本例ではFISHでIgH/bcl1融合シグナルを認め、病理診断はマントル細胞リンパ腫でした。
フローサイトメトリーの所見
通常のリンパ球よりCD45がやや弱い領域にCD5dimCD19+CD20+CD25dimκdim(CD10は陰性)の異常細胞集団を認め、CD5陽性のB細胞性リンパ腫と考える。